ZFE V1.2 — 「一次ソース至上主義」をやめて、LLM による文脈検証へ
ZFE V1.2: ドメインより文脈
アルゴリズムによるメディア評価は、長いこと「一次ソースの誤謬」を抱えてきた。.go.jp や .gov へのリンクがあれば、その記事は事実に基づいてよく調べられている——という思い込みだ。この前提は安易な SEO を招く。本文と何の関係もない一次ソースのリンクを記事末尾に並べるだけで、スコアが稼げてしまう。
ZFE V1.2 のデプロイをもって、このモデルから離脱した。
新しいスコアリング思想
政府の生データへのリンクが3本あるだけでメディア側の分析がゼロの記事は、政府報告書と調査報道を突き合わせた記事より役に立たないことが多く、ときにはより誤解を招く。この認識に立って、PHP 側のスコアリングロジックを調整した。
- 一次リンクの支配を上限化: 公式ソースを詰め込むだけでは満点に到達できない
- 多様性の加点を強化: 一次ソースと二次ソース(メディア・ブログ・地方ニュース)を対応付けて使っている記事を高く評価する
ただし本当のブレイクスルーは、この配点調整ではなく AI 検証パイプラインの方だ。
LLM による引用の自動検証
編集上の誠実さを実際に強制するため、Gemini 2.5 Flash を自動デプロイワークフローに直接組み込んだ(Python スクリプト zfe_llm_validator.py)。
- ソース抽出: 記事が最初のデプロイゲートを通過した瞬間、ZFE が記事内の一次・二次リンクをすべて洗い出す
- 文脈取得: 抽出した外部ページを実際に取得し、ノイズを除去して本文テキストを抜き出す
- LLM による突き合わせ: 記事本文とソース本文の両方を Gemini に渡し、「記事はこれらのソースを正確に反映しているか。都合のよいデータだけを拾って不当な結論を導いていないか」を判定させる
- ライブ反映: 得られたスコア(0〜100)と判定理由を WordPress REST API 経由で数秒のうちに書き戻し、公開中の記事のショートコード表示に反映する
粒度の細かい検証がもたらすもの
最初のライブテスト対象は「サブスク疲れ」を扱った記事だった。LLM が下した評価は 65/100。厳しいが、極めてフェアな判定だ。記事は消費者庁の実在ページにリンクしていたものの、ソース側が総論的な白書レベルで、記事が主張する「コンフォート・ビンジング」や「ダークパターン」といった具体的な論点を直接裏付けるには粗すぎた——というのが理由だった。
これこそ欲しかったものだ。**「リンクは実在する。だが、あなたの主張の証明にはなっていない」**と言えるエンジン。
この自動検証はデプロイパイプラインで既に稼働している。NT Media の分析記事で ZFE Score パネルにカーソルを合わせれば、突き合わせがどれだけ厳密に行われたかを確認できる。
追記(2026-07-19): 立ち上げ期に英語で書いていた記事を、内容そのままに日本語へ改稿した。